富県宮城グランプリ受賞企業 株式会社エヌエス機器

  • 2025年03月号(Vol.43)
  • 富県宮城グランプリの輝き
  • 工業

半導体装置部品から航空宇宙部品までナノレベルで研磨する技能集団

右から株式会社エヌエス機器 代表取締役 阿部 秀敏さん 製造部 取締役工場長 髙橋 盛二さん

航空機のタービンブレードの研磨を手がける県内唯一のものづくり企業

受賞のポイント

航空機やH2A/H3ロケットなどのエンジン部品を表面粗さ1000分の1ミリの範囲で仕上げることに県内で唯一成功しており、地域の雇用創出に寄与している点。

受賞のポイントやその影響

民間旅客機のエンジン部品や、防衛省向けの哨戒機およびジェット戦闘機(F15)のエンジン部品の研磨を行うことで、航空機・防衛産業に広く貢献し、H2A/H3ロケットエンジン部品の研磨加工に関わったことで、宇宙開発の国家戦略事業にも貢献した点が評価されたのだと思います。今回の受賞で、新規のお客さまの獲得や採用活動にも好影響をもたらすと考えています。また、これを契機に民間ロケット事業に参入したいと思っています。

この会社の仕事内容は?

「平均年齢37歳」の技術者集団が5つの部署に分かれて、航空・宇宙エンジン部品をはじめ、半導体装置部品、医療機器部品、自動車用部品、産業機械部品・樹脂製品・金属積層造形品などの研磨加工および外観検査を実施しています。また結束バンドの輸入卸販売を行っています。

この仕事のスゴイところは?

わずかな空気抵抗が、安定飛行に直接影響する航空機部品の加工をお任せいただけることに、責任とやりがいを感じています。初めてH3ロケットエンジン部品の試作を行い、一度目の確認で「合格」をいただいたとき、従業員みんなで拍手をして喜び合えたのも、ものづくりの醍醐味だと思います。

会社の魅力は?

弊社には失敗を恐れず、常にチャレンジ精神をもち、謙虚な気持ちで努力する。そんな技術革新を目指す姿勢と仕組みがあります。また、10代から60代まで幅広い年代が切磋琢磨して、技術の研鑽に注力している点が当社の魅力だと思います。子育て世代も休暇が取得しやすい環境も自慢です。

一番力を注いでいることは?

航空機産業分野は、今後20年間で2倍に成長していくと言われていますので、その成長速度に見合った技術提供が行えるよう、工場などの設備を整備していくことを計画しています。そして近い将来、金属3Dプリンター造形品の市場が2兆円産業に成長するだろうと予想されていますので、宮城県産業技術総合センターや東北大学をはじめとする「宮城AM研究会」会員として、私たちも後加工(あとかこう:基本的な製造工程を終えた後に施される追加の加工)のトライアルに挑戦し、さらなる技術の研鑽に努めていきたいと思います。

今後の展望を教えて!

宮城県内で、航空機のタービンブレード(エンジン内で熱エネルギーを運動エネルギーに変える部品)の研磨を実施している企業は弊社のみです。この高い技術をもつ技能集団として、近年では金属3Dプリンターで試作した人工関節に対する「磨き」の依頼を受け、最終的にはお客さまの期待を超える滑らかさで表面を仕上げることに成功しました。また、私たちは技術者を一から育てる教育体制や管理、作業手順の「見える化」に自信があります。これを基盤に、お客さまにご満足いただける技術を提供するとともに、次世代を担う人材の教育を進めたいと思っています。

株式会社エヌエス機器

住所宮城県石巻市和渕字日照131番地
電話番号0225-72-4037
URLhttps://ns-kiki.com
代表代表取締役 阿部秀敏
設立1987年7月
従業員数64名(2025年1月現在)グループ会社含む